【声明】
生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係の関する民法の特例に関する法律案が、可決・成立したことに対する緊急声明文を発表しました。
生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する 民法の特例に関する法律案の可決・成立に対する緊急声明
非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ
私たちは第三者の精子提供で生まれた当事者でつくる自助グループです。本日 12 月 4 日、衆議院本会議において、「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」が可決・成立しました。
精子提供という生殖補助医療における一番の当事者は生まれてくる子どもではないでしょうか。精子提供で生まれたという事実を背負い、生きていくのは私たちです。
私たちはずっと、「出自を知る権利」の保障を求め、訴えてきました。今回成立した法案において、「出自を知る権利」が先送りされたことに深く失望しています。このことは私たちにとって到底納得のいくものではありません。
問題を先送りした間にも、子どもは生まれ、育ちます。これは、未来の日本の子どもたちの問題です。2003 年に出された厚生労働省生殖補助医療部会の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」では、数年の議論を経て、第三者の関わる生殖補助医療で生まれた子の出自を知る権利を認め、その情報の収集や管理、開示に関するあり方を決めることが報告されました。17 年待ったいま、先送りされただけではなく、出自を知る権利の保障に関しては曖昧にされ、後退したと思います。精子提供という技術をこの先も続けていくのであれば、この報告書を踏襲した法整備、それに伴うシステムの構築について最優先に着手することを望みます。
2020年12月4日
以上
AID(非配偶者間人工授精)とは、夫以外の第三者から提供された精子を用いた人工授精のことです。男性側に不妊の原因がある場合(精子がない、または非常に少ないなど)に用いられる技術です。
基本的には、精子は匿名の第三者のものを使い、提供者が誰かという情報はそれを用いる夫婦はもちろん、生まれた子どもにもその情報は与えられません。
当事者とは誰でしょうか?
生殖補助医療技術を受けるのは親です。でも、当事者=親だけでしょうか?
現状で大きく欠けている視点、それは、生まれた子どもこそ、ほんとうの当事者だという視点です。
現状のAIDは提供者を知ることができません。
そのため、AIDで生まれた子どもにとって、意図しない近親婚の可能性もゼロではありません。
自分の体質や遺伝病の可能性について自信がもてず、医療受診の際に不安を抱くこともあります。
また、自分のことだけではなく結婚して子どもをもった時、今度はその子どもについても同じ遺伝情報の空白を作ることになります。
AIDという生殖技術は当事者を確実に増やしてしまう技術だといえます。
精子提供を受けるのは親ですが、それを引き受けて生きていくのは子ども(生まれた人)です。
AIDで生まれたoffsprings(子どもたち)は、
この事実が隠されてきたために、孤立する傾向にあります。
もしあなたが苦しい思いを抱えているなら、DOGへ連絡をください。
気持ちを打ち明ける場所ができるだけでも、何かが変わるかもしれません。