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プレスリリース(「特定生殖補助医療法案」の提出に対する緊急声明(2025年2月25日))

「特定生殖補助医療法案」の提出に対して緊急声明を行います

2025年2月5日、参議院で超党派議連が特定生殖補助医療法案を提出しました。

 

その内容は、

(1)子どもが18歳になったとき、提供者について個人の特定につながらない情報を開示できる。

(2)開示される内容は、身長や血液型、年齢が中心で、それ以外は想定していない。

(3)個人の特定につながる情報は開示請求の段階で提供者の同意を得なければ開示されない。

というものです。

 

超党派議員連盟(会長・自民党の野田聖子衆院議員)事務局長の伊藤孝恵氏(国民)は、これは「子どもの出自を知る権利を担保するための立法」と、今回の法案の意義を説明しています。

 

しかし、そもそも、議連は法案提出までに行われた全28回の総会で、一度も生まれた子どもの意見聴取を行なっていません。そのような法案が成立することに、私たち非配偶者間人工授精(AID)で生まれた人の自助グループは非常に強い危機感を抱いています。

 

そこで自助グループは以下の緊急声明を発表します。この声明が多くの人に届き、法案が再考されるようになることを望みます。

 


生殖補助医療の在り方を考える議員連盟による

「特定生殖補助医療法案」の提出に対する緊急声明

 

私たちは第三者の精子提供で生まれた当事者でつくる自助グループです。過日 2025 5 日、生殖補助医療の在り方を考える議員連盟による「特定生殖補助医療法案」が参議院に提出されました。

  

私たちはずっと、「出自を知る権利」の保障を求め、訴えてきました。しかし2020年に成立した法案で、「出自を知る権利」が先送りされたことに深く失望しました。そして今回、再び失望することとなりました。私たちは、議員連盟に対し、以下の問題点を挙げ、「出自を知る権利」の在り方について再考を求めます。

 

(1)この法律案によりすべての子どもが知ることのできる情報が、個人が特定されない情報のみ(身長・血液型・年齢等)である点

私たちが何を知りたいかを決めるのは、私たち生殖補助医療で生まれた子ども自身です。私たちは人としての提供者を知りたいのであって、個人を特定できない細切れの情報を欲しいわけではありません。子どもが知ることができる情報を政府は限定しないでください。

 

(2)生まれた子どもがそれ以上を知りたい場合には、提供者の了解を得ないといけない点

「出自を知る権利」は子どもの権利です。それにも関わらず、権利を行使する主体が子どもではなく提供者側にあることは納得できません。子どもが自分の権利を正当に行使できる法律にしてください。

 

(3)生まれた子どもが開示請求できるのが、成人(18歳)以降である点

生まれた子どもが一律で成人(18歳)になるまで開示請求できないのは、子どもの健やかな成長と発達に不利となる可能性があります。親に対しては子の年齢や発達に応じて適切に告知努力をするように促す一方で、子どもの開示請求可能時期を一律で制限するのは矛盾しているとも思います。海外では柔軟な対応をとっている国もあり、十分な精査と再考を求めます。

 

私たちは、「出自を知る権利」の保障を求めてきましたが、今回の法案は、一見「出自を知る権利」を認めているように見えて、実際のところ、議員連盟の「出自を知る権利」の考え方そのものが間違っていると思っています。何を知りたいのか(知りたくないのか)は子ども自身が決めるもので、それができて初めて、子どもの出自を知る権利が保障されている、と言えるのだと思います。また、今回の法案では提供者側にボールがあり、提供者が開示するかしないか、する場合どこまでするかを決めることができ、権利を行使する主体が子どもではなく提供者側にあることがおかしいと思っています。

 

生殖補助医療で生まれた子どもの声をもっと聞いてください。

 

2025225

非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ

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「特定生殖補書医療法案」の提出に対する緊急声明(20250225).pdf
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